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表示偽装と外食の隆盛

「白い恋人」が販売を再開する。少しづつ売れ行きも回復していくのだろう。反省が生きれば、それはそれでいい。しかし、それにしても「船場吉兆」の、偽装を現場のパート女性に押し付けるという取締役とは、いったいどうしたことだろう。


内部告発の制度が整って、おかしいと思う声が表に出るようになった。この重大性を経営陣のほうが、十分に認識しえていないというのが、船場吉兆のケースだろう。あれほどコンプライアンスがいわれながら、売上の論理が優先する。


「味」を何よりも優先するのが、伝統と格式を誇る料亭の哲学だろう。これがあれば偽装はありえない。仮にあったとしても、常態化したり、会社ぐるみであったりはしない。「味」を何よりも大事にする「のれん」の価値は、哲学としての精神的な価値であって、同時に経済的価値でもある。


この「のれん」の経済的価値は、トータルとしての企業価値であり、売上を高めるという論理と相反するのではなく、直結している。企業の「業績」という数字の価値が優先すると、企業の精神的な価値がうすれていく。しかし、企業を含む現在の経済社会は、発言する「消費者」の存在をますます大きなものにしている。そこでは、企業の精神的な価値こそが、その企業にとっても大きなものになっていくはずなのだ。


賞味期限や産地の偽装、売れ残りの再販売という事態は、企業が自らの価値の範囲に、消費者の存在を十分に入れていないところから生じる。これは、外食の一般化と隆盛の流れとも関係している。

外食する消費者の要請に、外食産業のほうが応え切れていない。「食」が家庭から社会へと拡大して、消費者も家庭での「食」を軽視しはじめたことのツケを払わされているのであり、一方で、外食の企業は、まだ「食」を担うことの重要性(これこそ企業価値を形成する)に十分には気づいていないのだ。
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代表取締役社長 岳中 純郎
代表取締役社長 岳中 純郎

産経新聞社で社会部記者のあと、朝刊編集長などを経験。その後、畑違いの総合企画室、総務局で仕事をし、2008年6月からニュースペース・コム社の社長。これまでの職業経験からいえば、これも予想外の展開。しかし、広告業界、それもクロスメデイアを標榜する世界に足を踏み入れて、いろいろと勉強しながら、結構楽しんでいます。

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