米国発の大いなる儲け話の虚構が暴露され、その金融工学なる理論のいい加減さが白日のもとにさらけ出されたというのに、かくも簡単に、電話一本で上場予定株の濡れ手に粟の話に乗ってしまうのか。
おそらく株を買った人たちは、今の状況を重々承知の上で「これだけはもしかしたら本当では」と思い込んでしまうのだろう。つくつく人間、強欲というほかない。
この上場話は論外だが、金融派生商品(デリバティブ)市場というのは高度化した資本主義にとって本質的なもので、虚構だから排除すればいい、あるいは政府が規制や監視を強化すればいい、ということにはならない。
産経新聞の田村秀男編集委員が「日曜経済講座」でこう書いている。 「強欲なヒトの手による市場原理至上主義は、『神の見えざる手』と呼ばれる節度ある自由市場原理を破壊した」 「世界金融危機は100年に1度どころか、経済史上未曽有であり、従来の経済理論は役立たない」
これは重要な指摘だろう。デリバティブ市場は人類史上、きわめて新しい市場であり、その危機というのは、いまだ人類が経験したものではない事態と考えたほうがいい。
田村さんは、そこを踏まえてあらためて提言する。
「本紙が1月から提唱してきた『政府紙幣の発行』『相続税免除条件付き無利子国債の発行』『円建て米国債の引き受け』」
「マネーによる危機はマネーで解決するしかないのだ」
マネーはマネーで解決、もその通りだろう。そのうえで、新たな本格的な金融市場の理論化がはかられなければならない。それは単なる規制ではない。新たな市場運営の具体的で適切な手法とその理論的裏付けの問題だ。
これにはかなりの時間が必要だろう。それは世界的な課題であって、少なくとも米国流の復権ということですまされるわけにはいかないはずだ。











